2015年12月3日木曜日

オイラ イノ吉

 
父母の菜園たよりから。10月のものになりますが、おもしろかったので。
田舎はどこも鳥獣害でたいへんです。
 

ケモノたちは「害」獣でもありながら、畏れ敬う存在でもあるのだなと思います。

白戸三平さんの「カムイ伝」(江戸時代が舞台の漫画)でも、主人公が山の中で大イノシシと対峙するシーンがありましたが、 自然の塊とでもいうのかな、たぶんこういった動物たちはわたしたちのなかにもある太古の、原始のケモノとしての生き物の部分にぼっと火をつけるようなところがあるのではないかと想像しています。
 
わたしも実家に帰った時に一度、このイノ吉よりもう少し小さなイノシシに逢ったことがあります。
罠にはまったあとも、必死に、生きようともがいて、怒り狂っている、篠藪を揺らす姿を見たら、なんだか頬が熱くなってきて、でも同時に、その場に立ちすくむしかない自分がものすごくちっぽけな存在に思えたのを覚えています。
 
いま農村では、農家の人たちが死活問題としてこうしたケモノたちと対峙しているわけで。
そこで採れたものを食べているわたしにも遠い話ではないのだと、食べ物から自然に思いを巡らせてみます。